相続放棄と競売で実家を取り戻した

群馬県の高崎で印刷会社を経営していた父が昨年他界しました。4年間癌を患ってました。膵臓(すいぞう)がんから始まり気づいた時には身体中に転移してました。享年68歳でした。

父の会社で働いていた私は父が死ぬ数年前に会社の状況が良くないことを知り、ウエブサイト制作やネット集客のコンサルタントとして独立しました。すでに結婚し2人の子供がいました。

父が亡くなったのは私たち家族が東京に引越し、事業が順調に拡大していったタイミングでした。

父には1億円ほど借金がありました。そのほとんどが印刷会社の運転資金を銀行から調達する際の個人保証です。中小企業、零細企業は銀行からお金を借りる時、社長の家や不動産は担保(抵当)にとられます。

さらに個人保証を求められるのです。高崎の実家には母が1人しか住んでませんでした。当然、相続の問題がここで発生します。母としては自宅を相続したい。でも相続というのはプラスの遺産とともにマイナスの遺産(つまり借金)も相続しなくてはなりません。

なんとか高齢の母には自宅を残してあげたい、でも1億の借金を背負わせるわけにはいきません。なので相続人である母と私は相続放棄をしました。相続を放棄すると1億円の借金の弁済義務は相続人からなくなります。

で、実家はどうなるのか?これは債権者(破産管財人)の申し立てにより、裁判所での競売となります。私は相続放棄をする前に土地家屋調査士と不動産鑑定士に依頼して、おそらく高崎の実家の価格は1000万円から1200万円だろうということを知りました。

家屋はすでに築40年が過ぎてましたから無価値。土地の価値だけです。競売には相続放棄をした人間も入札できます。そこで私は入札に参加し、実家を落札し、母にプレゼントしようと思ったのです。

高崎の地方裁判所で入札がありました。私は1200万円を記入して入札しました。その場で開札があります。係官は落札価格が1250万円であることを告げました。つまり私は落札できなかったのです。落札したのは地元の不動産業者でした。

私はすぐにその不動産業者にかけあいました。その物件には高齢の母が住んでいる。手数料を払うからなんとか譲っていただけないか?と。幸運にも50万円の手数料で不動産業者はその落札物件を私に売却することに同意してくれたのです。つまり落札価格1250万円に50万円の手数料を上乗せした1300万円で私は実家を取り戻すことに成功したのです。

考えてみると、私が独立し、インターネットのビジネスで成功していなければとてもこんなお金は払えなかっただろうと、思い出すだけで背中がゾクッとします。